ダンブレーンの町は、現在の地方区分ではスターリング・カウンシル自治体の管理範囲に入りますが、歴史的にはパースシャーの一部とされていたため、今でも地元の人ダンブレーンといえばパースシャーと考えることが多いようです。けれども、ダンブレーンの町からパースシャーの中心であるパースの町に行くには、野越え山越えかなりの距離がありますから、いちばん近い町といえばやはりスターリングになるでしょう。
ダンブレーン(Dunblane)という地名は「聖ブレーンの砦」という意味です。聖ブレーンは、6世紀後半に生まれ、スコットランド南部から北イングランドにかけてキリスト教の伝道に努めたスコットランド人修道士。この人が西暦602年にこの地に教会を設立したのが、ダンブレーンの集落の始まりだとか。聖ブレーンはわかったが、なぜ「砦」なのかというと、聖ブレーンと仲間の僧たちが、この土地にもともとあった古い砦の中で暮らしたことからきているのだそうです。
小さな田舎町であるダンブレーンは、海外からの観光客にはあまり知られていません。でももしかすると日本にも、ダンブレーンという名前に聞き覚えがあるという人がいるかもしれません。それはおそらく1996年の小学校乱射事件(※注1)の報道が記憶に残っているのではないかと思います。アメリカならともかく銃火器規制の厳しいイギリスの片田舎での事件だというので、イギリス国内のみならず、世界的にも大きく報道されたと聞いています。事件の悲惨さが印象に残って、ダンブレーンという地名を聞くと何やら恐い場所なのではないかと思ってしまう人も多いのでは? スコットランドには似たような例として、他にもロカビー(Lockerbie)という小さな町があります。テロリストによって爆破されたパンナム旅客機が墜落した場所です。この事件がある前は、ロカビーといえばチーズの産地というぐらいしかイメージがなかったのが、歴史に残る惨事の名前になってしまったのです。ダンブレーンにしても、たまたま頭のおかしい中年男がこのあたりで大事件を引き起こしたとは言え、町そのものは歴史の古い落ち着いたたたずまいを見せる、感じの良い小さなイギリスの田舎町です。
スターリングからダンブレーンに行くには、車か鉄道が便利です。鉄道ではスターリングから2駅目、路線の終点の駅です。自動車の場合はブリッジ・オヴ・アランに向かう道を辿り、そのままブリッジ・オヴ・アランを通り過ぎて先に進むか、あるいは高速道路でパース方面に向かいます。いずれの場合も大きなラウンドアバウトに出るので、ダンブレーンという標識がある出口から出ます。
ダンブレーンが勅許状を得たのはスターリングより遅く、ジェームズ4世の時代、1500年のことですが、大聖堂はそれよりもかなり古く、12世紀頃に建設が始まったようです。外から見ても立派な建物ですが、中もそれ以上に立派なので、ぜひ覗いてみてください。また、ここに付属する墓地を回ってみると、かつての司教の宮殿跡が残っているそうです。用もないのに墓地に入るなんて気持ち悪いと思うかもしれませんが、私はイギリスの墓地でけっこう散策にも面白いところだと思っています。特に古い教会に付属している墓地だと、ヴィクトリア朝の異様に立派な墓石が並んでいたりして、眺めるだけでも面白いです。なお、ここの墓地にはなぜか墓石が全然ないエリアがあって、中世に疫病が流行した時に大量の死者を大きな穴に合葬した跡なのではないかと言われています。掘り返して万一ペスト菌が飛散でもしたら大変なので、誰も確認したことはないそうですが。大聖堂には付属の図書館(貴重な古書が勢揃い)と博物館(教会関連品の展示)もあります。興味のある方はこちらも見てみてください。
ダンブレーンで観光の対象になる施設というと、大聖堂くらいなのですが、この町は中心部がいかにも昔の面影を残した町で、ただぶらぶらと散策するだけでも面白いところです。散策ついでにそばを流れるアラン川の方に下りてみて、川岸も散歩してましょう。ダーンウォーク(Darn Walk)という名前のついた散歩道が川沿いにずっと続いています。その名前の由来は古ゲール語で、「水の道」というような意味なのだそうで、古代から使われていた道だと言われています。
その後犯人がガンマニアだったこと、ボーイスカウトリーダーとして活動していたが不審な行動が多くてクビになり、その後自主的に少年クラブを設立指導していたが、かなり苦情を受けていたらしいことなどが明らかになりました。かなり被害妄想が強い、精神的にも不安定な人間だったにもかかわらず、警察の審査をパスして拳銃所持ライセンスを受け、自動小銃などを多数所持していたことが問題視され、この事件をきっかけに、アン王女の花束にちなんで「スノードロップキャンペーン」と名付けられた銃火器反対キャンペーンが始まり、大量の署名を集めて銃火器規制の大幅引き締めに成功しました。
なお、この事件で殺された女性教師の名前を取って、スコットランドのバラ育苗園コッカ―ズ(Cocker's)がGwen Mayorと名づけた新種のバラがあり、このバラの売上げの一部はスコットランドの小学校を支援する基金に寄付されます。